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2014.05/29(Thu)

20140529 オーフェン感想 

魔術士オーフェン女神未来(下)を読み終わっての感想。
ネタバレとかありありなのでまだお読みでない方はスルーしてくださいませ。

【More・・・】


魔術士オーフェン、女神未来(下)を読み終えての、まとまりきらない感想をまとまんないまんまとりあえず吐き出しておくメモ。



今の気持ちを無理やり一言で表現すれば、「見届けた満足感」が一番大きい。
「とんでもない傑作を読んでしまった感動」とか、あるいは「期待を裏切られた失望」とかでなく。
感動も失望も感じず、不思議な満足感を感じている。
それはオーフェンという物語と十数年付き合ってきて、今また一つの区切り、結末を見届けたという事実が、物語そのものの価値を越えて私の人生における何がしかの意味を感じさせているからかもしれない。

作品そのものに対する感想としては色々手放しには褒めないところもある。
オーフェン第四部は良くも悪くも淡々とした物語だったなーとか。
新世代組で決着つけて、オーフェンはでしゃばってこなかったし。
マジクおじさんなんか結局最後まで活躍の場がなかったし。
新世代組にしてもマヨベジ兄妹にフォーカス当たり気味でフィンランディ三姉妹は控えめだった。
そのあたり群像劇として、一人ひとりに割かれるドラマの分量が全体的に薄味だった感じで、多少物足りなさも感じないでもない。
でもそれすらもたぶん四部全体の物語、その雰囲気を作る要素として良かれか悪しかれか成立してたと思う。

なんだかんだでそれなりのボリュームになった第四部、けっこう脇役にも一人ひとりに思い入れはあって、ブレイキングマシューとか好きだった。
最終巻ではあまりにも淡白でしかし壮絶な彼の死に様が強く印象に残ってる。
拳に食らいついて死んだ後まで離れないってすごく彼らしい……
エドにだけやたら従順なのとか、昔色々ドラマがあったのかなぁ。
スティング・ライトもなかなかいいキャラになったと思う。
最初の頃はラチェやサイアンをいびるだけの嫌味なやつだったのが、ベイジットやビィブとからんでてずいぶん可愛げが出たなと。

女神未来下は、わりとお馴染みの「秋田哲学」がまた滲み出てたなという印象を受けた。
オーフェン二部終盤やエンハウあたりから、ベティやハンターダークやRDノベライズや機械の仮病などで繰り返し語られてきた感覚。
容易なもの、明確なもの、完璧なものへの不信感。
人間は、社会は、世界は、そもそもいびつで難解で御しがたく、そしてそれを受け入れて生きていくしかないという諦めにも似た覚悟。
そういう意味じゃ四部は、二部の焼き直しと言っても過言でないくらいお話としてのテーマとしては変わってなかったのかもしれない。
人間一人一人にはとうていどうにもできないような混沌の渦の中で、それでもそれぞれが戦い、抗い、自分できることをこなそうとする。
二部ではチャイルドマン教室組や最接近領や十三使徒や聖域といった部分的な組織が水面下で戦っていたものを、四部では原大陸全体に表面化した争乱として描いた。
あとは、なんだかんだでシリーズ通して戦闘能力に秀でた者が物語の舵取りに関わりがちだったのに対して、ベイジットという戦いにおいては無力な者が渦の中心に絡んでいく様を描いてみたかったのかもしれない。
二部終盤はマジクやクリーオウは「力」に翻弄されててんてこまいだったし。
単純な武力に頼ること無く、頭と意志で自分のやるべきことを見定めて情勢に関わっていこうとする若者として、ベイジットがいた。
その試みがお話として上手くいったかはわからないけど。
原大陸を渡り歩いて様々な人々の生活の現実や理想を見、革命闘士に共感し、最後にカーロッタから託された、そんなベイジットの物語はむしろ四部が終わってからが本番だって気もする。

オーフェン本人はといえば、これもまた二部終盤と「流れ」は似ているのかもしれない。
守れるものを守れるだけ守るためにとにかく全力は尽くした。
その結果として色々失ったものはあったが、結果は結果としてくよくよしてもしょうがないから、割りと前向きにこれからもやれることだけやっていこう的な。
色々失ったと言っても、これまで保ってきた均衡は崩れ去ったものの最悪レベルの大虐殺とか大動乱までは突入しなかったし、そもそも壊滅災害とかそういうのを防ごうとしてきた職務を考えれば最低限やることはやったし、騎士団の連中からは総スカンくらったものの家族はみんな生きてたしで、オーフェン個人としては色々肩の荷も下りてまずまずの結末か。
たぶんこの二十年の姿勢を思えば、政治的重鎮からはぐれたトリックスターとなって、結局は隠居とかせずに裏から表から原大陸の情勢に深く関わっていくんだろうけど。
ていうかマジクやエドを除いたヒラの戦術騎士団連中とはいえ一人で無力化ってやっぱり化け物だよな……
単独で一騎当千が冗談でない軍隊レベルの力持ってるんだから恐ろしい。
あとラスト近辺のマジクとのシーンは最初ほんとにマジクまでオーフェンの首をかきにきたのかとけっこう本気で緊張した。
マジクはオーフェンべったりっていうほどもう盲目的でもなくて、でもまだまだこの尖り目魔術士を特別な人だと思ってて、って感じが良かったと思います。

設定的にもキャラの心情的にも理解しきれていない部分が多いから、また四部の最初から……というか一部二部から読み返さないとダメかなぁ。
ベティ・ザ・キッドがそうだったけど、二回目に読み返してようやく細かいところに気づけるって部分は多い。
オーフェン四部もたぶんそう。
特に設定面では混乱が多い。
最後のシマスドラゴンのあたりとかあまりよくわかってない……


ともあれ、オーフェンという物語の、ひとまずの決着を見ることができたことに、とても幸福感を感じております。
人によって感想様々になる終わり方だったと思うけど、私は終わってみて「とても綺麗に終わったな」って思った。
もちろん食い足りない部分はまだまだあるから番外編にはおおいに期待しつつ。
ひとまず、秋田先生お疲れ様でした。
素晴らしいお話をありがとうございます、これからもがんばってください!
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