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2010.01/19(Tue)

100119 『メフィスト惨歌』藤子・F・不二雄 

収録作
メフィスト惨歌
倍速
マイホーム
侵略者
マイロボット
テレパ椎
ユメカゲロウ
裏町裏通り名画館
有名人販売会社
殺され屋

少し不思議=SFでおなじみの藤子先生の短編集。
この本に収録のお話はなんかネタ重視な感じで舌の上に残るピリリとした苦味みたいなのは少なめ。
他の人より速く動けるようになる時計を手に入れた冴えないサラリーマンの話「倍速」とか、人の考えが読み取れるようになる変な椎の実を拾ったイラストレーター志望の若者の話「テレパ椎」とか、「ドラえもん」的なマジックアイテムを話の鍵とした話は藤子・F先生のお得意とするところか。
しかしたとえば今の二つで言えば、速く動けるようになったり人の考えが読めたりとどちらも素晴らしいアイテムのようだが、「倍速」のほうは普通に時計を使ってハッピーエンドになっているのに対し、「テレパ椎」はなまじ人が口に出さない本音を垣間見てしまったがために世の中の見え方が切ない方向に変わってしまったというお話なのはおもしろいところ。
っていうかぶっちゃけ「倍速」は多分最後の下ネタギャグがやりたかっただけな気もするが。
この本の話はどれもネタだけに話が収まっていて、そのネタによって人間の感情とかを抉り出すような感じではないのが薄味に感じた要因か。
その中では「裏町裏通り名画館」が妙に気に入りました。
ある青年が裏日本の裏町の裏通りの映画館で変な映画を見てもやもやしたというお話。
ぶっちゃけて言えば「南極物語」と「スターウォーズ」のパロディで「北極物語」と「ヌターウォーズ」を見せられるのだが。
「南極物語」は南極観測隊に置き去りにされた犬たちが南極でたくましく一冬を生き抜く感動の物語。
「スターウォーズ」はジェダイのルーク・スカウォーカーがフォースの力で邪悪な帝国に立ち向かう話。
…だよね、多分。
実はどっちも見たことないのだが。
まぁおおまかなニュアンスは間違っておるまい。
では、「北極物語」と「ヌターウォーズ」はというと。
アザラシの子供が、人間に置き去りにされた犬の牙で仲間を何匹も殺されながらも一冬を生き抜く感動の物語。
そして、帝国軍に徴兵されてそこで友人も出来て帝国軍人として仕事に励んでいた若者が、テロリストに立ち向かって華と散る話。
つまり、オリジナルとは逆の立場から視点を変えてうがったものの見方をしたパロディ。
これはなかなかおもしろかった。
たまにテレビで動物ドキュメンタリーなんかやってるけど、ライオンの話をやってるときはインパラを追いかけるライオンに頑張れ捕まえろなんて応援するけど、インパラの話をやったときはがんばれライオンにつかまるななんて応援しちゃうわけで。
世の中やっぱりどこの誰の視点に立つかで見え方はがらりと変わってしまうもの。
だからこそ複数の立場をしっかり把握して、相対的にものごとを理解できるようにならなきゃいけないのだなぁ。
そして物語を作るときにもそれは同じ事で。
そういう意味でこの話はなかなかおもしろかったです。
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